春
世の中バブル景気に浮かれていた頃、私はとっても若かった。
世間はまさに浮かれた空気だったが。人生で一番、時間もお金も、何も無い時だった。その時期、一緒に辛酸をなめて過ごしたセンパイと、電話で会話した。
随分久しぶり。用件が済んで
「元気にしてるか?」
はい。こちらは全く変わらずです。
早く元通りにみんなで会いたいですね。
「それまで頑張らないとな。じゃ、元気でな。」
世の中こんなになっちゃって。でもひとりが結構好きだし、元々籠るのも好きだし。だから人と会わなくても平気なんじゃないかなって、心底思ったりしたけれど。親しかった人と言葉を交わしてこんなに心がほっこりするんだなって。
いつの間にかフキノトウが咲いていた。
世の中にも、早く春が来るといいなあ。