肌身離さず
最近、よく思い出すことがある。
子どもだった頃、近所に住んでいたおばあちゃんのこと。
ものすごく腰が曲がっていた。杖をついて歩いていたのだが、その背中にはいつも、本当にいつも風呂敷で包まれたものがあった。
小さな弁当箱くらいのものを、肌身離さず背負っていた。
その姿は、子ども心にも何となく奇異に映っていた。
そのおばあちゃんが亡くなったとき、棺に納められたというそれは、古いお金だったと知った。
3.11以来、考え方も大きく変化した。
いざという時の備えについても、考えを改めた点が多い。
こんな時だからこそあのおばあちゃんのことを思い出したのだと思うが、
今だからあのおばあちゃんの気持ちが、少し理解できたようなそんな気がしている。